要点: 日本の賃貸アパートでの防災は、借主ができる備えとできない改修を分けることから始まります。ハザードマップと市区町村の避難情報を正本にし、家具固定や穴あけは契約と管理会社に確認します。水・食料の備蓄は公式の目安を参考にしてください。
この記事は誰向け?
日本の賃貸アパートやマンションに住む外国人と、入居前後に備えを整えたい人向けです。全国の災害概説ではなく、借主の制約、管理会社、原状回復、賃貸の保険を中心に扱います。
部屋探しの全体像は
外国人のための日本の部屋探しガイド
を参照してください。停電時の連絡先や開通手続きは
ライフラインの手続きガイド
へ委譲します。
借主が自分で変えてよい範囲はどこまで?
賃貸では、室内を自分の判断で穴あけ・ビス止め・配線改修しないのが原則です。国土交通省の原状回復ガイドラインは、借主の原状回復を「故意・過失や通常の使用を超える使い方による損耗の復旧」と整理しています。借りた状態へすべて新品同様に戻す、という意味ではありません。 ガイドラインに法的拘束力はなく、最終判断は契約と使用状況によります。
家具の転倒防止も、次を管理会社または貸主に確認してから行います。
- 壁・天井への穴あけ、ビス、接着剤の可否
- 突っ張り棒や家具同士の連結など、原状を変えにくい方法の可否
- 共用部(廊下、階段、ベランダの避難経路)に物を置いてよいか
- 災害後の破損を、いつ・どの窓口へ報告するか
「地震対策だから穴を開けてよい」と自己判断しないでください。許可の範囲は書面で残します。損害の記録と退去時の精算は
賃貸退去と敷金返還のガイド
と用語を揃えて確認します。
ハザードマップと建物では何を見る?
住所の浸水、土砂、津波などの想定は、国土交通省のハザードマップポータルと、市区町村の地図を正本にします。ポータルは全国の入口であり、詳細な凡例・避難場所は自治体ページで確認します。
建物については、築年や構造を「安全・危険」の個人判定に使わず、次を資格付きの目安として見ます。
- 1981年(新耐震基準)前後は、設備や構造を見るときの一つの切り口です。詳しい物件タイプの見方は
日本の賃貸物件タイプ
を参照してください
- 低層は浸水、高層は揺れやエレベーター停止など、階数のトレードオフは物件と立地で異なります
- 避難経路、消火器、非常階段、掲示板の避難先は、その建物の管理会社・管理組合の案内が正本です
気象庁は、活火山を「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義し、日本には111の活火山があるとしています。自分の住所に火山リスクがあるかは、気象庁と自治体の情報で確認してください。
避難情報の言葉はどう読む?
市区町村が出す避難情報は、5段階の警戒レベルで整理されています。内閣府・政府広報の説明では、次が住民向けの要点です。
- 警戒レベル3「高齢者等避難」:避難に時間がかかる人とその支援者は、危険な場所から避難を始めるタイミング
- 警戒レベル4「避難指示」:対象地域では、危険な場所から全員が避難するタイミング
- 警戒レベル5「緊急安全確保」:すでに安全な避難が難しい状況。この発令を待たない。必ず出る情報でもない
「避難勧告」は現行の警戒レベル運用では使わない呼び方です。古い記事や口頭の説明に残っている場合は、市区町村の最新の発令名を確認してください。
気象庁などの防災気象情報は「警戒レベル相当情報」であり、市町村の避難情報と同時に出るとは限りません。自分の住所のリスクを記事が判定することはしません。 公式の発令と、建物の掲示・管理会社の連絡を優先します。
観光庁監修の Safety tips アプリは、緊急地震速報や津波警報などを複数言語で受け取れる案内があります。通知条件はアプリの説明を確認し、市区町村の防災無線や公式サイトと併用してください。
賃貸の保険では何を確認する?
入居時に加入する火災保険・家財保険・借家人賠償などは、プランと約款で補償が変わります。次は契約書と証券で確認し、一般論で「すべて補償される」とはしません。
- 家財(自分の荷物)と、貸主への賠償が別か
- 水濡れ、盗難、地震・噴火・津波の扱い(特約の有無)
- 仮住まい費用、免責金額、連絡先
- 管理会社指定の保険と、自分で選んだ保険の重複や不足
保険金請求の前に、室内の被害写真と管理会社への報告日時を残します。医療や服薬の継続は個別の判断が必要で、この記事では一般の備蓄と連絡手段に留めます。
非常持ち出しは何を用意する?
首相官邸の防災案内などは、飲料水の目安として1人1日3リットル、食料は最低3日分、できれば1週間分を示しています。乳幼児、持病、ペットがいる世帯は、公式の目安に加えて必要なものを各自で足してください。
最低限、次を一か所にまとめておくと動きやすいです。
- 水と食べられる保存食(賞味期限を定期的に見る)
- 常備薬、予備の眼鏡、生理用品、乳幼児用品(該当する場合)
- 携帯トイレ、マスク、モバイルバッテリー、ラジオまたは情報を取る手段
- 在留カード、パスポート、保険証券、契約書の写し、現金の少額
- 管理会社・勤務先・学校・在日の緊急連絡先
- ペットがいる場合のリード、ケージ、フード(避難先の受入条件は自治体・施設による)
ライフラインが止まったあとの再開連絡は、契約している電気・ガス・水道の窓口に従います。開通時の連絡先整理は
ライフラインの手続きガイド
が起点になります。
ペットと一緒に逃げる手順の要点は
日本の賃貸でペットと暮らすガイド
を参照してください。
よくある質問
地震のたびに家具を壁へ固定してよいか?
常に許可されるとは限りません。穴あけや接着は契約と管理会社の回答が正本です。突っ張り棒など原状を変えにくい方法でも、共用部や天井の条件を先に確認します。
ハザードマップで浸水想定がある物件は借りない方がよいか?
この記事は個別物件の可否を判定しません。想定と避難経路、階数、保険、自治体の発令の受け取り方を、自分の条件で照合してください。
避難指示が出たらマンションに留まってよいか?
市区町村の発令内容と、建物の避難経路・垂直避難の案内が正本です。「マンションだから安全」と一般化しません。警戒レベル4では危険な場所からの避難が求められます。
災害で部屋が壊れたら敷金から直すのか?
原因と契約、保険の対象によります。まず被害を記録し、管理会社へ報告します。借主負担かどうかは、原状回復の考え方と明細で確認します。精算の手順は
退去と敷金返還のガイド
を参照してください。
171番はいつ使うか?
NTTの災害用伝言ダイヤル(171)は、大きな災害時に安否を音声で残す仕組みとして案内されています。平時の一般電話番号ではありません。開設の有無と使い方は、その時点の公式案内を確認してください。
次に何をする?
- 住所のハザードマップと、市区町村の避難情報の受け取り方を確認する
- 管理会社に家具固定・穴あけ・共用部の物置きの可否を書面で聞く
- 保険証券と在留カードの置き場所を決め、非常持ち出しを公式の備蓄目安で揃える
- 停電・断水時の連絡先は
ライフライン案内
と契約先で確認する
出典
- 国土交通省 ハザードマップポータルサイト(2026-09-08確認)— 洪水・土砂・津波などの地図入口。
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」(2026-09-08確認)— 警戒レベルと避難情報の整理。
- 政府広報オンライン「警戒レベル4までに危険な場所から全員避難」(2026-09-08確認)— レベル3〜5の住民向け説明。
- 気象庁「活火山とは」(2026-09-08確認)— 活火山の定義と111の活火山。
- 首相官邸「災害が起きる前にできること」(2026-09-08確認)— 飲料水3日分(1人1日3リットルが目安)などの備蓄例。
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2026-09-08確認)— 借主負担と通常損耗の一般的な考え方。
- JNTO「Safety tips」(2026-09-08確認)— 観光庁監修の災害情報アプリ案内。
- NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)」(2026-09-08確認)— 災害時の安否伝言サービスの案内。

