要点: 日本の賃貸住宅を退去する人は、まず契約書の解約予告期間と連絡方法を確認しましょう。室内の状態を写真と書面に残し、敷金の精算明細を取り寄せます。通常の使用による傷みと借主が負担する損傷を分け、納得できない請求は根拠を確認して相談できます。
この記事は誰向け?
日本の賃貸アパートやマンションを退去し、敷金の返還や原状回復費用を確認したい人向けです。これから通知する人も、すでに請求を受け取った人も、契約書・写真・明細をそろえるところから始められます。
初期費用としての敷金・礼金の違いは
日本の賃貸初期費用ガイド
を参照してください。本記事では退去から精算までを扱います。
退去の準備には何が必要?
手続きと費用を確認できるよう、次のものを一か所にまとめましょう。
- 賃貸借契約書・重要事項説明書、更新時の書類、特約
- 敷金などの支払記録と、入居時の室内チェック表・写真
- 故障や水漏れなどを管理会社へ連絡した記録
- 解約を受け付ける窓口と、契約で指定された通知方法
- 希望する引越日・明渡日、連絡先と返金先の情報
契約書の「解約」「原状回復」「クリーニング」「敷引き」などの項目を確認します。敷引きは敷金から一定額を差し引く取り決めを指しますが、具体的な内容と有効性は個別の契約で確認が必要です。
退去通知から鍵の返却までどう進める?
1. 契約上の締切と通知方法を確認する
解約予告期間、通知先、指定フォームの有無、短期解約違約金を確認します。全国共通の「2か月前」と決めつけず、自分の契約で必要な日までに通知しましょう。
引越作業の日と契約終了日が同じになるか、最後の家賃がどの日まで発生するかも窓口に聞きます。送信した通知と受付回答は保存し、電話だけで話した場合も日付・担当者・内容をメモして確認を求めます。
2. 明渡しに必要な段取りを決める
立会いの有無・予約方法、鍵の返却先、清掃の範囲を管理会社へ確認します。引越し、不要品の処分、ライフラインの終了・住所変更も、自分が契約している窓口の案内に沿って手配してください。
粗大ごみなどを室内や共用部へ残さないよう、処分日を先に確認しておくと作業を組みやすくなります。ライフラインの種類と契約先を整理する際は
ライフラインの手続きガイド
も参考になりますが、終了手続きの条件は各契約先で確認します。
3. 清掃し、部屋の状態を記録する
荷物を出した後、通常の掃除を行い、部屋全体と気になる箇所を撮影します。傷の近接写真だけでなく、場所が分かる引きの写真も残すと、入居時の記録と照合しやすくなります。
壁・床・水回り・備え付け設備を確認し、以前に報告した不具合も整理しましょう。壁紙の張替えや塗装などを自分で手配したい場合は、先に管理会社へ相談し、承諾範囲を書面で確認します。
4. 立会いと鍵の返却を記録する
立会いがある場合は、指摘された傷や汚れを一緒に確認します。書面への署名を求められたら、室内状態の確認なのか、費用負担への合意も含むのかを読んでください。不明な点は説明を求め、書面の控えを受け取ります。
立会いがない場合も、記録を管理会社へ送り、確認方法を相談できます。返却する鍵の本数・受渡日・受取先を控え、精算明細をいつ、どの方法で受け取れるか確認しましょう。
原状回復では何を負担する?
国土交通省のガイドラインでは、経年変化や通常の使用による傷みの修繕費は賃料に含まれるという考え方を示しています。借主の故意・過失や、通常の使用を超える使い方による損傷などは借主負担の対象になります。借りた時の状態へすべて新品同様に戻す、という意味ではありません。
借主負担となる損傷でも、設備や内装の経過年数、補修する範囲を考慮します。「傷が一つあるから部屋全体の交換費を全額負担」と自己判断せず、どの箇所をどの理由で請求しているか聞きましょう。
ガイドラインは費用負担を考える一般的な基準です。契約内容を確認したうえで、条項が曖昧な場合や説明に疑問がある場合に、話し合いの資料として使います。
清掃すればクリーニング代は不要になる?
清掃しただけで契約上のクリーニング費用がなくなるとは限りません。特約がある場合は、その対象・金額・契約時の説明を確認してください。
一方で、特約に書かれている費用がすべて自動的に有効になるわけでもありません。国交省のQ&Aは、特約やクリーニング費用の有効性を個別に検討する必要があることを説明しています。解釈に争いがある場合は契約書を持って相談しましょう。
原状回復を「日本の文化だから払う費用」とまとめず、契約と実際の室内状態から整理することが大切です。普段の掃除、原状回復工事、契約上のクリーニング費用を分けると、何を質問すればよいかが見えてきます。
敷金の返還額と時期をどう確認する?
「敷金の何割が戻る」という一律の目安で予算を組まず、預けた額から何が差し引かれるのかを精算明細で確認します。敷金を超える請求や、敷金なしの契約での退去費用もあり得ます。
明細では次を照合してください。
- 預けた敷金額と、未払家賃などの精算項目
- 修理する場所、工事内容、数量・単価
- 借主が負担する理由、経過年数や負担割合の扱い
- クリーニング・敷引きなどの契約条項との対応
- 差引後の返金額または追加請求額、支払い・返金の予定日
返金までの期間も契約や手続きによるため、管理会社に予定日と振込先を確認します。予定日を過ぎても明細や返金が届かなければ、以前の回答を添えて進捗を問い合わせましょう。
納得できない請求はどこに相談する?
まず貸主・管理会社へ、疑問のある項目と理由を具体的に伝えます。「この傷は入居時の写真にも写っています」「この工事範囲と負担割合の根拠を教えてください」のように、記録と明細を対応させましょう。
説明を受けても解決しないときは、消費者ホットライン 188 から地域の消費生活センター等へ相談できます。契約書、写真、精算明細、これまでのやり取りを用意すると状況を説明しやすくなります。日本語での相談が難しい場合は、対応言語や通訳同席を事前に確認してください。
よくある質問
長く住んでいれば修理代はすべてゼロになる?
すべてゼロになるとは限りません。経過年数を考慮する考え方はありますが、損傷の原因、対象設備、修理内容や特約を確認する必要があります。
入居時の写真がないと相談できない?
写真がなくても相談できます。入居時のチェック表、修理依頼のメール、管理会社との記録など、残っている資料を集めて事情を説明しましょう。
立会いで署名したら請求について質問できない?
署名後でも内容の説明を求められます。ただし、何に合意したかで扱いが変わるため、書面の控えを確認し、争いがある場合は相談窓口へ持参してください。
敷金ゼロなら退去費用もゼロ?
退去費用が発生する場合があります。クリーニングの特約や借主負担の損傷などを、契約書と請求明細で確認してください。
次に何をする?
退去前なら契約書の解約欄を開き、通知先と締切を確認しましょう。精算待ちなら明細の送付予定を、請求に疑問があるなら項目ごとの根拠を管理会社に確認してください。
次の部屋探しは
外国人のための日本の部屋探しガイド
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出典
- 国土交通省 原状回復ガイドライン(2026-09-08確認)— 通常損耗、経過年数、補修範囲の考え方。
- 国土交通省 原状回復のQ&A(2026-09-08確認)— 特約、クリーニング、署名、修繕手配と精算明細。
- 国民生活センター 原状回復トラブルへの注意(2026-09-08確認)— 契約確認、退去時の記録、相談先。
- 国民生活センター 入居時からの備え(2026-09-08確認)— 写真・書類の保存と請求内容の確認。

